ビットコイン、トランプ大統領の貿易発表を受けて急騰——心理的節目の10万ドル突破が視野に
2025年5月8日、ビットコイン(BTC)の価格が過去24時間で2.6%上昇し、98,933ドルに達しました。これは、ドナルド・トランプ米大統領が「大規模で尊敬される国」との貿易合意を翌日に発表するとSNS「Truth Social」で明らかにしたことを受けた市場の反応です。トランプ大統領はこの合意を「最初の多くの合意のひとつ」と表現し、さらなる国際的な貿易協定が続く可能性を示唆しました。
具体的な国名は挙げられませんでしたが、『ニューヨーク・タイムズ』は関係者3人の話として、相手国はイギリスである可能性が高いと報じています。この報道を受け、トレーダーたちは世界貿易の緊張緩和への前向きなステップとして歓迎の意を示しました。これまで米中間の関税政策が市場に大きな不安定要素となっており、株式市場と仮想通貨市場の双方に影響を与えてきました。
ビットコインは今年1月20日に史上最高値の109,000ドルを記録して以降、4月に米国が中国に対する関税を引き上げたことで88,000ドルから74,500ドルまで急落。しかし、ETF(上場投資信託)への資金流入、ドル安、投資家の心理改善などを背景に回復基調を見せており、今回の急騰で10万ドルの大台突破が現実味を帯びています。
同時に、米財務長官スコット・ベセント氏が今週スイスで中国高官と会談することも発表され、こちらも注目を集めています。4月の関税引き上げ以来冷え込んでいた米中関係において、初の公式協議となる見通しで、これも市場心理にプラスに作用しています。
5月7日には米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を4.25~4.50%に据え置く決定を行い、投資家の安心感を後押ししました。FRB議長のジェローム・パウエル氏は「トランプ大統領の貿易政策による不確実性」を認めつつも、米経済の回復力と低失業率を理由に金融引き締めを見送ったと説明しています。
こうした複合的なマクロ経済の追い風を受け、ビットコインの上昇トレンドは勢いを増しています。心理的節目である10万ドル突破が目前に迫る中、市場参加者は今後の値動きに注視しています。