スペイン警察とユーロポール、4億6000万ユーロ規模の暗号詐欺ネットワークを摘発:5人逮捕

スペイン国家警察(グアルディア・シビル)は、ユーロポールおよび国際的な法執行機関との連携により、過去最大級の暗号通貨詐欺ネットワークを摘発し、5人の容疑者を逮捕しました。摘発は2025年6月25日に行われ、カナリア諸島で3人、マドリードで2人が拘束されました。

この犯罪グループは、世界中の販売代理人ネットワークを通じて、被害者に虚偽の暗号通貨投資への参加を促し、詐取した資金を現金引き出し、銀行振込、仮想通貨の送金などを通じて受け取っていました。捜査当局によれば、彼らは世界中で5000人以上の被害者から合計約4億6000万ユーロを詐取したと見られています。

さらに、この犯罪組織は香港を拠点とした複雑な企業・銀行ネットワークを構築していたとされており、複数の仮想通貨取引所で他人名義のアカウントを使用することで、犯罪収益の受取、保管、移動を容易にしていたとされています。こうした仕組みにより、資金の流れを当局が追跡することは困難となっていました。

この摘発は、ユーロポールが発表した「深刻かつ組織的な犯罪脅威評価(SOCTA)」で指摘されたように、EU内の安全保障にとってオンライン詐欺が重大な脅威となっている現実を浮き彫りにしています。ユーロポールは、AIの急速な進化により、オンライン詐欺が今後他の犯罪形態を上回る可能性があると警告しています。

なお、今回の摘発に先立ち、数週間前にはドイツ、キプロス、アルバニア、英国、イスラエルなどの当局が協力し、ユーロジャストとユーロポールの支援を得て、300万ユーロ規模のオンライン投資詐欺グループを解体した事例もありました。そこでも偽の取引プラットフォームと偽ブローカーを使った心理的な詐欺が行われていました。

現在も捜査は続いており、さらなる関係者の摘発や犯罪資金の追跡が進められています。国際的な協力体制の強化が、今後のサイバー犯罪対策において重要な鍵となるでしょう。